
子持ちFIREの選択肢としてよく挙がる「バリスタFIRE」だけど、実際どうなん?
こんにちは。40代で2人の子供を育てながらサイドFIREを目指しているせつやんです。
子持ち世帯でFIREを目指している方の中には、パートやアルバイトで生活費の一部を賄うFIREスタイル「バリスタFIRE」を考えているという方も多いのではないでしょうか?
とはいえ、実際には資産いくらで達成できる?サイドFIREと比べたときのリスクは?など、気になることも多いかもしれません。
今回は、そんなバリスタFIREについて、私の視点からお話をしてみようと思います。
子持ち世帯のバリスタFIREにはいくら必要?
子持ちであるか否かに限ったことではありませんが、一般的にバリスタFIREに必要な資産額は、以下の要素で決まってきます。
- 毎月の支出額
- 働いて稼ぐ予定の額
- (想定取り崩し額)

厳密には上の2つで割り出すことができますが、3つめも考慮に入れると持続可能性も確認できます。
具体的なケースで考えてみましょう。
ケーススタディ:毎月の支出:40万円、労働収入15万円の場合
世帯の毎月の支出が40万円で、パートやアルバイトでの収入を15万円とすると、資産から生活費に充てるお金として毎月25万円必要になる計算です。
つまり、「手取りの資産収入」が年間で300万円必要になります。わざわざ「手取りの」と記載した理由は、含み益の出た資産の取り崩しには。20.315%の税金がかかるためです。
ここでは、単純化するために、資産の半分が含み益であると仮定し(インデックスファンドへの投資と考えると、かなり良好なリターンを得ている計算です)、試算してみましょう。
取り崩した資産の半分に約20%の税金がかかる、つまり取り崩し額全体からすると10%の税金がかかると仮定すると、実際に取り崩す額は、「300万円 ÷ 9 × 10 = 333万3333円」となります。
FIREの「4%ルール」に従うと、必要な資産額はこの25倍ということになります。つまり、このケースでのバリスタFIREに必要な資産額は、単純計算で8333万3333円ということになります。

税金を考慮しないと7500万円だけど、、、かなり額がアップするんだなあ!
【重要】この計算には穴がある。資金のバッファは必須!
上記のケースでは、8333万円の資産があればバリスタFIREができるという計算になりました。しかし、このシミュレーションには重大な欠陥があります。
これは単純計算しただけであり、実際には以下のような問題があります。
- 収入の全額を使い果たす前提である
- 資産の全額を投資に回す人は非常に限られている
- 子供の教育費(特に一時的な支出)が考慮されていない
1.収入の全額を使い果たす前提である
毎月の支出が月40万円で、15万円の労働収入を見込み、25万円を取り崩す……これは、きっちり収まる前提での計算です。
月によっては、突発的な支出が出ることもありますし、まして子持ち世帯ではある年から習い事を始めたりすることもあるでしょう。
持続可能なバリスタFIREを計画するのであれば、収入の想定は必ず支出を上回る必要があります。
可能であれば5万円ほどのバッファを常に持っておくことが、「いざ」というときに対処するために、非常に重要です。特に、パートやアルバイトで厚生年金に加入しない場合は、保険料の支払いが生活費に含まれることになるため注意が必要です。
そうなると、さらに月5万円(年間60万円/税引き前:66万6666円)の取り崩しが必要ということになります。つまり、年間の取り崩し額は、333万3333円に上記を加えた額、400万円ということになります。
4%ルールに従うと、この25倍ということになり、1億円の資産が必要という計算になります。

げぇっ、いきなり1億円の大台に乗ってしまった……!
2.資産の全額を投資に回す人は非常に限られている
さらに、ケーススタディでは、資産全額から4%を取り崩す計算にしていました。「4%ルール」は、運用しているインデックスファンドなどからの取り崩しを想定したものですが、資産の全額を運用している人は非常に稀でしょう。
一般的には、通常使う生活費に加えて、生活防衛資金として現金を残しておくのが定石です。資産運用を始める際の生活防衛資金は生活費の3〜6ヶ月分と言われていますが、FIREするのであれば、市場の暴落への備え「現金クッション」として、生活費の1〜2年分程度を確保しておくのが理想とされています。
つまり、これを考慮すると、追加で400万円×2年分=800万円が必要ということになり、合計で1億800万円の資産が必要という計算になります。

うおっ!また増えた!
3.子供の教育費が考慮されていない
これはケースバイケースだと思います。
資産の中にすでに子供の教育費、特に大学進学時の費用が考慮されている場合はそこまで大きな問題にならないと思います(子供が巣立つと生活費も減るため、一時的に大きな出費があっても取り返せる可能性が高い)が、考慮されていない場合はこの部分の費用も確保する必要があるでしょう。
具体的な金額については以下の記事も参考に見ていただければと思いますが、一時的な費用として、少なくとも200〜300万円は確保しておいたほうがよい気がします。
それを考慮すると、必要な資産は1億1000万円ということになりますね。

き、厳しくない……!?
ただし、最初に言った通り、バリスタFIREに必要な資産額は、各家庭の状況によって変わるため、絶対に1億円必要ということではありません。
場合によっては、これよりもずっと少ない資産額でバリスタFIREを達成することも可能です。
4000万円でも可能?子持ちバリスタFIREの必要額の計算方法
あらためて、子持ち世帯がバリスタFIREを考える際の必要資産の計算方法についておさらいしておきましょう。
バリスタFIREの必要資産額の計算手順
計算の手順は以下のとおりです。
- 毎月の生活費を割り出す(バッファとして+3〜5万円を考慮)
- 労働収入で確保できる金額を確認
- 年間の取り崩し額を計算((「1」の年間生活費ー「2」)÷9×10)※税金考慮
- 「3」×25で、取り崩し資産の合計額を算出
- 「4」に、現金クッションとして「1」×1〜2年分をプラス
- 「5」に想定される教育費を加える
この中で、必要資産額に特に大きな影響を与えるのが「3」の年間の取り崩し額ですこの金額は、生活費が少ないほど、また、労働収入が大きいほど少なくできます。
最初に提示したケーススタディでは生活費を40万円(バッファ5万円)、労働収入を15万円としましたが、生活費が25万円(バッファ5万円)、労働収入20万円(夫婦で10万円ずつ)とすれば、資産からの取り崩しは月10万円(税引前:11万1111円)で済みます。
その場合の必要資産額は3333万円+現金クッション+教育費で、4000万円あれば行けそう、という想定が成り立ちます。

よかった!4000万円でもバリスタFIREはできるんですね!
フルFIREの前段階としても有効?バリスタFIREの隠れたコアメリット
ちなみに、バリスタFIREは、「パート型サイドFIRE」とも言えるFIREスタイルです。
サイドFIREは生活費の一部を労働収入で賄うというもので、その一形態として存在しているのがバリスタFIREです。
バリスタFIREは、雇用主と雇用契約を結んで(時給制など)でパートやアルバイトを行うため、フリーランスなどと比較すると、時間の制約は強いと言えます。
一方で、一定の労働時間や給与などの条件を満たすことで社会保険に加入できるのが最大の強みです。
社会保険には「労使折半」という仕組みがあり、社会保険料の半分を雇用主が支払ってくれます。これにより、少ない社会保険料負担で、同等の社会保障が受けられます。
フルFIREしたい場合も1年間バリスタFIREを挟む戦略が有効
フルFIREしようと思った時に大きなネックになるのが、この社会保険料です。
社会保険料は、前年の給与収入をベースに算出されるため、会社員から無職(FIRE状態)になることで、その負担感が非常に大きく感じます。
しかし、フルFIREの前に1年間バリスタFIREを挟むことで、この負担感を「ソフトランディング」させることが可能になります。
バリスタFIREを1年挟むことが、なぜ社会保険料の負担感を和らげるのか……その具体的なメカニズムと実際のメリットは以下の通りです。
1.翌年の社会保険料が「激減」する
国民健康保険料や住民税は、前年の1月〜12月の所得を基準に計算されます。 会社員を辞めて、即フルFIRE(無職)をすると、前年の高い給料をベースにした高額な保険料が請求され、無収入の状態でそれを払う重い負担が生じます。
しかし、フルFIREの前に1年間バリスタFIREを挟み、年収を一定以下に抑えると、翌年に請求される社会保険料や住民税を少なく抑えることができます。
2.会社と保険料を「折半」しながら移行できる
バリスタFIRE期間中に厚生年金・健康保険の適用条件(週20時間以上勤務など)を満たして働けば、以下の恩恵を受けられます。
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社会保険料の半額を会社が負担:自費で全額払う国民健康保険・国民年金よりも一世帯あたりの負担を抑えられます。
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厚生年金の期間を1年延長:将来もらえる老齢厚生年金を少しだけ底上げできます。
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傷病手当金などのセーフティネット維持:万が一の疾病リスクに対する保障を維持したまま、資産取り崩し期へ移行できます。
3.キャッシュフローの「急変」を防ぐ精神的クッション
フルFIRE直後は「収入がないのに資産を取り崩していく」という強いストレスを感じやすい状態になります。
しかし、1年間のバリスタFIRE期間を設けることで、労働収入を得ながら生活コストを調整し、同時に社会保険料の算出ベースを段階的に下げることができるというわけです。

社会保険料の負担感を軽減できるのはいいですね!!
子持ちのバリスタFIREに落とし穴はないの?リアルなリスクとは?
子持ち世帯でも比較的小さい資産で、かつ大きなメリットも享受しながら実現しやすいバリスタFIREですが、もちろん、デメリットもあります。
特に私が感じているリアルなリスクについてお話をしたいと思います。

いいことばっかりではないんですよね……。
リスク1.労働のストレスから解放されないリスク
私が一番懸念しているのはこのリスクです。
アルバイトやパート、短時間勤務といった働き方であっても、組織で働く以上は人間関係のトラブルや理不尽な指示、劣悪な職場の雰囲気、といった避けることが難しい職場のデメリットが存在します。
会社員時代と同じ、「転職ガチャ」「上司ガチャ」のような状態は、常にあります。
結果として、労働でのストレスから解放されたくてバリスタFIREを選んだのに、やっぱり働きたくない、という状態に陥る可能性があります。
リスク2.そもそも都合の良い仕事が見つからないリスク
「パートやアルバイトでも月10〜15万円くらいは簡単に稼げるやろ!」と思っていても、40〜50代にもなると、ちょうどいい仕事を探そうと思っても、なかなか見つからないということは普通に起こり得る話です。
すでに会社員として一定のキャリアを積んできた自負もあるため、「こんな仕事やりたくないな……」とか「こんな給料で働けないな……」とかも考えてしまうかもしれません。
バリスタFIREを継続するには、働き続けなければいけませんから、①いい仕事を見つけて、②は働き続けるという2つのハードルをクリアする必要があります。
リスク3.キャリアが断絶されるリスク
バリスタFIREに限ったことではありませんが、会社員を辞めてパートやアルバイトとして働く、あるいは無職になる、といった場合、「キャリアの断絶期間」が生じることになります。
「継続が難しければ、また会社員に戻ればいい」というのはまさにそのとおりですが、実際にキャリアの断絶が起きると、またその期間が長くなればなるほど、「戻る」ことは難しくなっていきます。
特にバリスタFIREは、少ない資産で実行に移すケースも多いため、「逃げ場がなくなる」リスクは他のFIREに比べても高い可能性があります。

「フルFIREが難しくなってサイドFIREに移行する」計画よりもリスクは格段に高いですね……!
まとめ:子持ちバリスタFIREは少ない資産でも可能。でも「余裕」は必須
今回は、子持ち世帯のバリスタFIREの必要額とリスクについて考えてみました。
バリスタFIREは、ゆるく働きながら社会保険のメリットも享受できるFIREスタイルで、比較的少ない資産額で達成できるのも大きな魅力です。
一方で、失敗した時(継続が難しくなった時)のリスクは大きめで、「万が一」の場合はその後に苦労する可能性もあります。
こうした事態を防ぐためには、今回紹介した必要資産額の計算において、特に「想定生活費に余裕をもたせること」や、「子供の教育費をあらかじめ確保しておくこと」が非常に重要になります。
将来にわたって、バリスタFIREを継続できるよう、余裕を持った計画を立てるようにしましょう!
ということで、今回は以上です!




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