年金の受給開始は何歳がベスト?FIRE世帯の最適解をシミュレーション

FIRE(早期リタイア)

こんにちは。40代で2人の子供を育てながらサイドFIREを目指しているせつやんです。

突然ですが、みなさんは老後の生活のことをどれくらい想像できていますか?FIREを目指している人であれば、ざっくり「老後にはこれくらいの資産を残したいな」くらいは考えているかもしれません。

ただし、やはり老後を豊かに暮らしていく上で重要になるのが毎月の安定的な収入源・つまり年金です

今回は、FIRE民も気になる、年金の最適な受給開始年齢について考えてみます。

せつやん
せつやん

年金は何歳からもらうのがベストなんだろう??

75歳への年金繰り下げは大損?

2026年7月、私も資産運用について参考にさせていただいている、作家の橘玲(たちばな・あきら)氏の以下のポストが話題になりました。

記事はこちらです。

要するに、「年金の受給開始を75歳まで繰り下げることは、金融商品(投資)の視点で見ると極めて不合理であり、実は大損している」という指摘です。

中でも面白い視点だと感じたのは、よく繰上げ受給・繰下げ受給の文脈で言及される「損益分岐点」に対して疑問を呈している点です。

(画像引用:年金繰り下げの損益分岐点は何歳?|マネイロメディア

上記は年金受給の損益分岐点に関する図ですが、橘氏は、仮に75歳から年金受給を開始して80歳で死亡した場合に「ああ、65歳から受給しておけばよかったな……」と後悔するだろうか、と論じています。

年金繰下げ受給の本当の利回りとは?

当該記事は、損益分岐点の計算は単純な受取額に基づいており、「金融商品」として見るならば、利回りを計算して比較すべき、と言っています。

70歳への繰り下げを、国に(65歳から69歳まで)5年間、毎年100万円を積み立て(積立総額500万円)、平均余命の15.6年間、年42万円の増額分を受け取る債券と考えてみよう。この金融商品の投資利回りをExcelのIRR関数で計算するとは年2.72%になる。

同じ計算を75歳への繰り下げで行なうと、10年間、国に総額1000万円を積み立て、平均余命の12.08年間、年84万円の増額分を受け取ることになるが、この場合の利回りは、わずか年0.13%になってしまう。

75歳への年金繰り下げ、本当は大損(日経ヴェリタス連載128回)

受給を繰り下げ、その分受給額を割増でもらうということは、すなわち、繰下げ期間に受け取れたはずのお金を国に預けて一定の利回りで運用するのとほぼ同義です。

そう考えると、70歳への繰下げ受給をした場合には実質的に年2.72%の利回りが得られるが、75歳まで受給開始を繰り下げると、利回りはわずか0.13%にまで低下してしまう、というのです。

せつやん
せつやん

驚きの事実です!長生きすれば、もらえるお金は増えるけど、増額は割に合わないってこと……!?

繰上げ受給時の減額と繰下げ受給時の増額

日本の年金制度では、65歳の通常受給時を基準に、1ヶ月繰り上げることに0.4%、受給額が減額されます。仮に60歳から受給開始した場合、65歳での受給を100%とすると、受給額の割合は76%になります。一方、繰り下げる場合は、1ヶ月につき0.7%が増額されます。70歳から受給する場合は142%、75歳から受給する場合は184%となります。

(参考:年金の繰上げ受給・繰下げ受給|日本年金機構

何歳から年金を受給すれば一番得なのか?

となると気になるのは、「何歳から受給すれば一番得なのか?」ということです。本記事は、まず以下の条件で、「もっとも資産を最大化できる受給開始年齢」についてシミュレーションしてみます。

  • 年金を受給できる60歳時点での平均余命から受け取り期間を算出
  • FIRE民を想定し、年金を全額運用に回すものと仮定
  • 65歳でもらえる年金を年100万円と仮定

男性(平均余命24年)の場合

男性と女性では、平均余命に違いがあります。まずは男性のケースから見ていきましょう。男性の60歳時点での平均余命(厚生労働省「令和6年簡易生命表」)は、23.63年(約24年)です。つまり、60歳の男性は、平均的に84歳まで生きることが期待できます。

年金を全額利回り4%で運用する場合(男性)

受給した年金を、全額4%で運用する場合の、84歳時点での資産総額は以下です。

75歳まで受給開始を繰り下げた場合が圧倒的に少なく、反対に一番多くなるのは65歳からの通常受給です。また、その他は僅差であることが分かります。

年金を全額利回り5%で運用する場合(男性)

次に、利回り5%のケースを見てみましょう。

5%のケースでも、75歳の受給開始が圧倒的に損なのは変わりません。しかし、一番得をするのが60歳からの繰上げ受給の場合となっています。

さらに6%、7%と想定利回りを上げていくと、60歳からの受給開始がさらに有利になっていく試算です。

女性(平均余命29年)の場合

女性の60歳時点での平均余命(厚生労働省「令和6年簡易生命表」)は、28.92年(約29年)です。89歳まで生きる想定でシミュレーションしてみましょう。

年金を全額利回り4%で運用する場合(女性)

まずは全額を4%で運用する場合です。

男性のケースと同様に、75歳からの繰下げ受給が圧倒的に損、という結果になります。

一方、男性のケースと違うのは、もっともお得なのが「70歳からの繰り下げ受給」になる点です。女性のほうが長生きであるため、繰り下げによって増額した分を、より長く運用できることから、このような結果になっています。

年金を全額利回り5%で運用する場合(女性)

次に、全額を5%で運用する場合です。

75歳からの受給が大損するのは変わりません。しかし、ここで面白いのは、利回りが上がると、60歳からの受給開始が逆転することです。

効率的な運用ができた場合、「増額による恩恵」よりも「長期間運用することによる恩恵」のほうが大きくなることが分かります

もちろん、さらに利回りが上がると、60歳からの受給がさらに有利になります。

せつやん
せつやん

年金を運用するなら、早くから受け取ったほうがお得ってことか!

いや、死ぬまで運用で増やしてどうすんのよ

ここまで読んで「最終的な資産額で比較してどうすんの」「死ぬまで運用して使わないつもりか」とツッコんだ方は非常に鋭いです(汗)。

そのとおり、最終的に得になったとしても、お金は使わなければまったく意味がありません。死ぬまで使わないお金が最大化したところでしょうもない話です。

せつやん
せつやん

あの世にお金は持っていけません!

「使い始める時期」を想定する

年金をちゃんと活用するために、「使い始める時期」も想定に入れてシミュレーションしてみたいと思います。次では、70歳以降は年金を使う想定をし、それまでもらった年金のみ運用すると仮定してシミュレーションしてみます。

年金を一番効率的に活用できる受給開始年齢は何歳?

最初の試算では、最終的な資産額で比較しましたが、ここでは、「もっとも資産を効率的に活用できる受給開始年齢」についてシミュレーションしてみます。条件は以下です。

  • 年金を受給できる60歳時点での平均余命から受け取り期間を算出
  • 使い始める70歳まで、年金を全額運用する
  • 70歳以降はそのまま受給し使う
  • 65歳でもらえる年金を年100万円と仮定

男性の70歳時点での資産状況

60歳から受給を開始した場合、年金は10年間で1000万円近いお金になることが分かります。70歳、75歳からの受給の場合は当然ながら0円です。

男性の70歳〜84歳(14年間)に使える金額シュミレーション

上記の金額を踏まえて、年金の活用期間にどれくらいのお金を使えるのかを計算したのが以下です。

年利4%で運用した場合

非常に分かりやすい結果となりました。70歳まで運用した成果もあり、その後の受給額が少なくても、結果的には60歳からの受給がもっとも豊かな暮らしを送れることが分かります。

一方で、この場合でも圧倒的に厳しいのが75歳の繰り下げ受給時です。75歳まで繰り下げるということは、それまで、労働で生活費を賄うか、貯金を取り崩すかしながら暮らしていく必要があることから、「70歳以降に使えるお金」として平均にするとかなり厳しい金額になります。

ちなみに、この順序は5%以上に運用利回りを増やした場合でも変わりません

せつやん
せつやん

やっぱり75歳からの繰下げ受給は厳しい〜〜〜〜!!

女性の70歳〜89歳(19年間)に使える金額シュミレーション

次に女性のケースで見てみましょう。女性は、男性よりも長生きする傾向があり、75歳からの受給開始でも受給期間を稼ぐことができますが、果たして……!?

年利4%で運用した場合

これはなかなか面白い結果です。75歳の受給開始は平均すると、一番損、ということにななっていますが、ほかの受給開始年齢のケースと比較して、そこまで遜色ない結果となりました。

女性の場合、4%運用の想定だと、どこの時点から受け取りを開始してもそこまで違いはないということです。

ただし、繰下げ受給を選択する際のネックになるのは、やはり受給開始までの生活をどうするかでしょう。これをクリアできる場合は、以降の生活を豊かにできる可能性がある、と言えます。

年利5%で運用した場合

女性の場合は、想定利回り4%と5%で様相が変わってきますので、5%のケースも掲載しておきます。

もはや「おなじみの結果」と言ってもよいかもしれませんが、60歳からの受給開始がもっともよく、75歳からの受給開始がもっとも悪い、という結果です。

せつやん
せつやん

非常に興味深い検証結果になりました!

まとめ:どの角度から見ても75歳受給開始はハイリスク

今回は、年金受給は何歳から開始するのが得か?という視点で検証をしてみました。

一般的な年金受給の損益分岐点は単に受給額のみで論じられますが、FIREを考えている方であれば、一定の運用を行うことも想定に入っているのではないかと思います。

その意味で、今回の検証は非常に興味深いものとなりました。

まず、さまざまな検証をした中で言えるのが「75歳からの繰下げ受給はダントツで大損する可能性が高い」ということです。長期運用する場合は言わずもがなですが、70歳から使い始めるケースと比較しても、平均値として均すともっとも損をするという結果になっています。

また現実的に最大のリスクとなるのが、「受給開始までの期間をどう生活するか」という視点です。年金は最大で+84%の増額となりますが、それまでの期間は、労働や貯金の取り崩しでなんとかしなければなりません。

さらに、健康の課題もあります。75歳から豊かな暮らしを送れるとしても、健康な体がなければ多くのお金を使うことはできないでしょう。

総合的に考えて、70歳以降の繰下げ受給はリスクが高い、ということが言えると思います。

今回の結果を踏まえ、個人的には60歳から受給して全額運用に回す、という選択をしようと思いました!みなさんも参考にしていただけたら幸いです!

せつやん
せつやん

年金受給の最適解は人によって異なります。自分のケースでよく考えて、受給開始年齢を決めましょう!

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