子持ちでFIREは無理――世間ではそのように言われることがあります。
実際にFIREしている人の多くは独身の方。その最大のハードルは、FIREするための資金がたくさん必要になるということだと思いますが、実はそれ以外にも子持ち世帯のFIREを阻む理由があるのではないかと私は考えています。
今回は、そんな「子持ちFIREが難しい理由」と、それでも私が「可能だと思っている理由」についてお話したいと思います。

子持ちでもFIREは可能です!!
なぜ「子持ちFIREは無理」と言われる?そんなことないのに…

敢えて逆のことを言って、言葉を強く印象付けるという方法があります。だからというわけではないですが、個人的には「子持ちこそFIREすべき」と言いたいところです。
とはいえ、子持ちでFIREはハードルが高いと言われていることも確かです。まずはその理由について深堀りしつつ、しっかり反論していきたいと思います。
不可能と言われる理由1.教育費が不確定要素すぎる
子育てで最もお金がかかるのが、言うまでもなく教育費ですが、これは子どもの進路(国公立か私立か、理系か文系か、留学するかなど)によって1千万円単位で変動します。

(画像引用:子育てに必要な教育費は平均いくら?|三菱UFJ銀行)
すべて公立なら、教育費は比較的安く済みますが、私立ならば費用は跳ね上がります。FIREの基本ルールである「年間支出の25倍の資産を築く」を計算する際、この「将来いくらかかるか分からない巨大な変動費」があるため、目標設定そのものが難しい、という問題に直面することになります。

目標を立てられないのは大問題です!
不可能と言われる理由2.生活水準を下げにくい(節約に限界がある)
仮に単身者であれば、家賃の安い部屋に住んだり、食費を極限まで削ったり、といった極端な節約も、ストイックな姿勢があれば可能です。これにより、「入金力」を最大化し、資産形成のアクセスを「ベタ踏み」することができます。
しかし、子供を含めた家族がいるとそう簡単にはいきません。子供が1人なら部屋は2LDK以上、2人なら3LDKが必要になります(一般的に)。そうなると、家賃の安い家を探すのも難しくなります。都心部ともなればなおさらです。購入する場合は言わずもがなです。
食費も、自分だけなら質素な「カロリーさえ摂取できればOK」的な食事でもよいかもしれませんが、妻や子供にもそれを強いることはできませんし、それをやったら下手したら虐待です。

学校の必要なものを揃える必要がある他、習い事や学習塾、その他諸々……お金がかかります!
不可能と言われる理由3.パートナーや周囲の理解が得にくい
ある意味、最大のハードルな気がしているのがこれです。独身のFIREと全く違うのが、「自分だけでするものではない」ということです。
パートナーの人が「働けるうちは働くべき」と思っているかもしれないですし、世間体が気になるというケースもあるでしょう。親が働いていないことによる子供への影響を気にする人もいるかもしれません。
また、FIREしたいのは自分だけである場合、パートナーが、「節約すること」や、「お金を投資に回すこと」自体に嫌悪感を示す可能性もあります。「もっと今の生活を充実させるためにお金をつかおうよ」というわけです。

我が家は、まさにこのパターンでした。
人それぞれ価値観が異なるため、当然このようなことが起こります。
それでも「子持ちFIREは可能」だと言える理由
確かに、子持ちFIREにはさまざまなハードルがあります。それは間違いありません。それでも、私は十分に可能だと考えています。その理由について紹介します。

対策していけばOKです!
可能である理由1.教育費は「青天井」ではなく「選択できる支出」だから
教育費が怖いのは、「いくらかかるかわからない」というのが大きいのではないでしょうか。人は得体のしれないものに恐怖を感じると言います。子育て世帯にとって、「見えない教育費」は、まさに、「得体のしれないもの」です。
そこで考えられる選択肢は2つあります。
A. 進路をあらかじめ想定しておく
公立か私立か、習い事をいくつにするか——これらはすべて選択可能な支出です。「何を選び、何を選ばないか」をある程度先に決めておけば、教育費は予測可能な数字にすることができます。
とはいえ、子供の以降や、その時々の状況によって想定通りにいかないこともあるはずです。そこで考えたいのがBパターンです。
B. 考えられる最大値を想定する
言い換えれば「最悪を想定する」ということです。すべて私立なら、2000万円以上の教育費がかかります。習い事を複数やればさらに数百万円かかるかもしれません。
これらを含めると、子供1人あたり3000万円を想定しておけば、「大学までの教育費はなんとかなるだろう」という算段をつけることができます。とはいえ、FIRE時点でこの金額を用意しなければいけないわけでもありません。運用しながら作っていけばいいのです。

簡単じゃないけどね!
もちろん、「どうやってその金を用意するんだよ!」というご意見はごもっともなので、別の機会にきちんとお話をさせていただきます!
可能である理由2.「今すぐ会社を辞める」ことだけではない
FIREというと、一般的には会社を辞めて、働かずに資産収入(あるいは資産の取り崩し)だけで生活していくことをイメージする人も多いかもしれません。あるいは、「そうでなければFIREとは言わない!」勢もいるかもしれません(汗)。
でも、実際には、資産収入で生活費の一部を賄いながら緩やかに働く「バリスタFIRE」や「サイドFIRE」という形もあります。
サイドFIREは、自分の好きなことで労働収入を得ながら、一部を資産収入で賄っていくFIREのスタイルです。バリスタFIREは、アルバイトやパートタイムで「雇用されながら」、社会保障も受けつつ一定の労働収入も得るスタイルで、サイドFIREの一形態とも言えます。
このような柔軟なFIREスタイルは、子育て世帯にとっては、完全リタイアより現実的で、かつ再現性が高いと言えるでしょう。

私もサイドFIREを目指しています!
可能である理由3.話し合いを重ねることで理解を深めてもらえるから
そもそもの価値観が異なる場合、家族や周囲の理解を得ることは非常に難しいです。そのため、最初から節約に対する価値観が合う人がパートナーである場合や、お互いに「FIREしたい」と思える間柄である場合、それだけで子持ちFIREのハードルは一気に下がると言っていいでしょう。
しかし、そうでない場合は、時間をかけて価値観をすり合わせていく必要があります。
我が家の場合、私はもともと節約志向で、お金を使わないことに慣れていた一方で、妻はあまりお金に不自由したことがなく、お金に無頓着、いつも美味しいものを食べたいし、気に入った服をすぐに買いたい、スーパーでは値札を見ない(Xの株クラが卒倒するやつ)という人でした。
このような妻には、まず「毎月のクレジットカードの利用額を把握する」というところから始め、収入の一定額を、当時のつみたてNISAとiDeCoに少額から積み立てることを提案し、資産が増えたら一緒に(大げさに)喜ぶ、といったことをしていきました。
それでも、「いつまでこんなことをしなきゃいけなんだ」「もっとお金を使わせて!」という非難を数ヶ月に一度食らい、そのたびに、自分のFIRE計画として、妻も生活が楽になること、子供にも好影響があること、さらに楽しい人生が送れることを丁寧にプレゼンし続けました。
その結果、まだまだ不満はあるようですが(苦笑)、なんとか私の計画を理解してもらえるところまでは来ました。つまり、価値観が異なる場合でも、丁寧に話せばわかってもらえる可能性があるということです。
押し付けないことは非常に大切
「話し合う」というのは、こちらの意向を押し付けることではありません。「自分はこうしたい、わかってくれええええ」では話が進みません。重要なのは、相手の価値観もちゃんと理解してあげることだと思います。
相手にも実現したいことがあるので、双方の落としどころを見つけることが大切です。我が家の場合は月のクレジットカードの利用額を決めましたが、使い道については一切口出ししないことと、FIREしたら、もっと自由にお金が使えることなどを約束し、ちゃんと妻にもメリットがあることを伝えることで納得してもらうことができました。

話せばわかる!
「無理」の基準は他人の物差しであることに気づく
心理学に「社会的比較理論」という考え方があるそうです。これは、人は自分の状況を、常に周囲と比較して評価してしまう傾向があるというものです。
「あの人は独身だからできた」「あの家族は年収が高いから特別」——そう考えるとき、私たちは無意識に他人の物差しで自分を測っているのです。
でも、自分の家庭にとっての「FIRE」は、自分の支出と価値観の上にしか成立しません。他人の成功例は参考であって、正解ではないのです。
で、具体的に子持ちFIREにはいくら必要なのよ?
そうは言っても、「じゃあ、いくらあれば子持ちFIREできるんだよ」という話に結局はなりますよね。結局は、支出によりますし、どんなFIRE像を目指すかによっても違うので「人によって違う」としか言いようがありません。
ただ、考え方自体は独身でFIREを目指すのとそう大きくは変わりません。年間生活費×25。これは「4%ルール」に基づく目標額になります。ここに、教育費として「子供の数×3000万円」をプラスすることで、ひとまずはセーフティな金額が出せるのではないかと思います。
例えば、年間生活費が500万円、子供1人の家庭なら、500×25+3000=1億5500万円となります。しかし、前述の通り、教育費は必ずしもFIRE時点で用意しておく必要はありません。生活費とは別枠で運用を続ければ、資産は膨らんでいくことが期待できますから、そのへんも折り込みながら段階ごとに必要な額を用意できるよう計画していくのがよいと思います。
結論:なんとかなる

今回は、子持ちFIREが無理と言われる理由と、可能だと思う理由についてお話をしました。
やっぱり感じるのは、「無理」と主張する人には、完全FIREにこだわりすぎている人や、見積もり金額が大きすぎる人のどちらかが多い印象があります。
子持ちFIREには1億円じゃ足りない、2億必要、みたいな言説を目にすると、「自分には無理」と感じてしまうのも理解できます。でも、実際には、資産5000万円でも、4%の取り崩しで年間200万円を確保できるわけで、サイドFIREは十分に視野に入ってくるのではないかと思います。
何度も言いますが、やはり支出や自分が目指すライフスタイルで、大きく変わります。
京セラ・KDDI創業者の稲盛和夫はこう言っています。
「心に描いた夢しか、実現しない」
自分が、まずできると思わないと、そこには行けませんから、まずは「できる」と信じることが大切だと思います。



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